フォルクスワーゲンは、愛される車をつくり続けている。
フォルクスワーゲンの歩み
フォルクスワーゲン (Volkswagen) は、ドイツ語で「国民の車」という意味を持つ。もともとは、独裁者だったアドルフ・ヒトラーが率いる政権により、1937年国民車構想という国家戦略として創立された自動車メーカーだった。当時、ヒトラーから設計を依頼されたのが、世界的な自動車工学者であり設計者の、フェルディナント・ポルシェ博士だった。
博士は、安価で高性能な自動車を国民に供給するため、小型・大衆車の開発を始めた。その後、第2次大戦という暗い歴史を乗り越えたのち、生み出された車が、フォルクスワーゲン「タイプ1」(通称:ビートル) だ。
戦後、世界的な名車、ロングセラー車となった。そして1970年代には、イタリアを代表する工業デザイナーのジョルジェット・ジウジアーロを迎え、ビートルの後継モデルとして発表されたのが「ゴルフⅠ」である。いまでも世界中の車メーカーがお手本とするコンパクトカーの原形を造り出したと言っていい。
フォルクスワーゲン (Volkswagen=国民の車) のデザイン性
フォルクスワーゲンに関わる技術者、デザイナーには一貫したデザイン性が息づいていることが、フォルクスワーゲンの発表している車の外観だけを見ても伝わってくる。なぜだろうか?
フォルクスワーゲングループのデザイン責任者であったワルター・デ・シルヴァは、
「機能性や実用性に根ざしたシンプルさは、フォルクスワーゲンのDNAである」
-ワルター・デ・シルヴァ-
www.vw-saitama.co.jpより引用
といっている。
フォルクスワーゲンの車は、決して流行や外観のインパクトに左右されず、派手さはなく、一見、地味で控えめに見える。それは、何年車に乗っても古びない実用性と機能性を重視してつくられているからだ。「ゴルフ」をはじめ、世界的なデザイン賞も、数々受賞している。
機能性、実用性に根ざしたシンプルなデザイン
フォルクスワーゲンのデザインコンセプトから見えてくるのはドイツデザインだ。ドイツデザインの代表的なものとして、1919年に設立されたバウハウス (ドイツ・ワイマールに設立された美術造形学校) が挙げられる。バウハウスで教壇にたった著名な芸術家達 (画家、デザイナー、建築家など) が、合理的で機能性を重視したデザイン表現を世界中に広めていった。その時代の芸術運動 (ムーブメント) だった。
いまでも、現代アーティスト達に、その思想・表現の影響が受け継がれている。フォルクスワーゲンのプロダクトにも感じとれるものだ。
愛されるもの、古びないもの
愛されるもの、古びないものには、人それぞれ好みがわかれる。ただあえて言うと、ものには機能的・合理性があり、シンプルで凛 (りん) としたものが、世界中で愛され続けているのではないかと。そのツボをしっかり押さえてくるのが、フォルクスワーゲンという自動車メーカーだと思う。
現在、気候変動(クライメート・チェンジ)の影響で電気自動車・自動運転車が世界中で、続々とリリースされている。燃料の変化、機能の変化、形状の変化が起きているが、どれだけ形状、機能が変わったとしても、フォルクスワーゲンには、機能性、実用性に根ざしたシンプルを貫いてもらい、「これは格好いい!!」と思えるクルマを引き続き、発表してもらいたいものだ。
最後に、個人的には、VW公式のYouTubeチャンネルにあるCMで、CMの最後にVWロゴとともに「Volkswagen!!」という男性の低いかすれた声で終わるフレーズがある。これがフォルクスワーゲンを思い出す時に、必ず頭のなかに流れてくる好きなフレーズだ。(現在は、女性の声にかわっているが、個人的には男性のほうがいい) https://www.youtube.com/watch?v=5xzEwpBZi2Q 2:25秒あたり