みそ汁を毎日飲んで免疫力を高める。
昔は朝食にご飯、みそ汁、漬物が当たり前だった日本の食文化。そこからだんだんとライフスタイルの変化により和食離れが進んでいった。感染症の流行や緊急事態宣言など出かけることもままならない今、和食を中心にした食事をとることが、免疫力を高めることにつながる。それほど昔の日本の食文化は栄養価の高いバランスをとった食事だった。
そのなかでも「みそ汁」。味噌は大豆を発酵して作られる。大豆に含まれる成分に加え、それを発酵させることで栄養成分が高まり、さらにみそ汁にすることで具材が汁に溶け込み、ビタミン、タンパク質、アミノ酸など栄養成分をしっかりと摂取できる。
味噌に含まれる栄養成分と期待される効果について
【主な成分】
・イソフラボン
大豆に含まれる天然成分でポリフェノールの一種
効果:抗酸化作用があり生活習慣病、更年期障害の予防、美肌効果など
・ビタミンE
脂溶性ビタミンの一種
効果:活性酸素を除去し、抗酸化作用がある
・ビタミンB
8種類の栄養素からなるビタミンB群
効果:体内のエネルギー代謝を補う効果
・コリン
細胞膜の構成と補修に必要な栄養素
効果:認知症予防など
・大豆レシチン
大豆に含まれるリン脂質の一種
効果:脂質の代謝、記憶力向上、睡眠促進、肝臓の機能向上など
・トリプシンインヒビター
タンパク質の一種
効果:糖尿病の予防、インフルエンザなどの感染症の予防
・リノール酸
脂肪酸
効果:脂肪減少、ダイエット効果
・サポニン
野菜や果物の細胞を紫外線や害虫を守るためにつくられる物質
効果:抗酸化作用、抗ウィルス効果
・メラノイジン
アミノ酸と糖が反応することで作られる物質
効果:抗酸化作用、糖尿病予防、発がん物質の抑制
・グリコシルセラミド
天然の植物性セラミド
効果:アンチエイジング効果、保湿効果
・トリプトファン
アミノ酸の一種
効果:アンチエイジング効果、鎮痛効果、代謝の改善
・フィトケミカル
植物に含まれる化学成分、紫外線や害虫を守るためにつくられる物質
効果:抗がん作用、血圧の安定、免疫力の強化
みそ汁のがん予防について国立がんセンター研究所より発表
国立がんセンター研究所の平山雄博士らの疫学調査によりみそ汁を飲む人、飲まない人では胃がんの死亡率が変化してくるという調査結果を発表している。発表では、毎日みそ汁を摂取する人の胃がん死亡率が低いことが認められたという。また、同研究所よりみそ汁の摂取が多いほど、乳がんになりにくい研究結果も発表されている。大豆に含まれる成分イソフラボンががん発生率の減少と関連が見られるようだ。広島大学の渡邉敦光名誉教授と研究グループの研究成果でもみそ汁にはがん予防や脳卒中の予防効果があることが発表されている。
みそ汁にはたくさんの効果が期待できる。アレルギーなどなければ毎日摂取したいと思えるが、みそ汁を飲み過ぎて、塩分のとりすぎにならないのだろうか。気になるところだ。こちらも共立女子大学の上原誉志夫教授が、みそ汁の摂取頻度での塩分は血圧に影響しない研究結果を発表している。1日3杯までであれば影響が見られなかったとのことだ。もちろんほかの食材などで塩分をとりすぎてしまえば、塩分が高くなってしまう。食事のバランスには気をつける必要があるだろう。
参照:ci.nii.ac.jp
www.hiroshima-u.ac.jp
www.kyoritsu-wu.ac.jp
みそ汁の種類と味噌の投入タイミング
味噌には3種類の麹 (コウジ) があり米麹・麦麹・豆麹がある。栄養成分は熟成期間が長いほど味噌の微生物が活性化するが、熟成期間が長いほど塩分濃度も上昇する。米味噌→麦味噌→豆味噌の順に熟成期間、塩分濃度もあがる。1日3食のなかで味噌の種類を変えたり、合わせみそにしたりしてもいい。
みそ汁を作るときの味噌を投入するタイミングは、火を止め、温度でいうと50℃~60℃くらいになって投入する。温度が高すぎるとみそ汁のもつ栄養成分が失われてしまうことになる。
手軽につくれる最強発酵食
Covid-19 (新型コロナウィルス) 感染症が収まる気配がないなか、みそ汁を飲むことで免疫力を高め、たくさんの栄養成分、予防効果があることがわかった。昔はあたりまえだった食文化には、日本の先人達が培ってきた食に対する知恵が入っている。まずは、家で手軽につくれる最強発酵食の「みそ汁」を毎日飲んでいこうと思う。