瞑想 (めいそう) は、習慣化していくことでストレスの軽減、集中力の向上、リラックス効果などたくさんの効果があり、世界中でおよそ5億人の人たちが、瞑想を実践していることを、前の記事でも触れた。心・体を改善するメリットがある反面、リスク(副作用)を伴うことは、瞑想を実践するうえで、知っておいたほうがいいことだ。
瞑想の副作用についての調査結果
英国のユニバーシティ・カレッジロンドン(UCL)、ドイツのヴィッテン・ヘァデッケ大学、スロベニアのリャブリャナ大学の研究者たちが、習慣的に2カ月間瞑想を実践した1232人に対して、アンケート調査をしたところ、瞑想を実践した25%の人たちに心理的に不快な体験があったことがわかったという。
症状としては、不安や恐怖、解離感、思考のゆがみ、情緒不安定などがある。全体の4分の1以上の人が、副作用を経験したことになる。そのほかにも瞑想することによって不安感、パラノイアの体験、過去のトラウマの記憶が再生されたという経験があった人たちもいるようだ。
*パラノイアとは
不安や恐怖などの妄想(もうそう)が持続的に起こる精神的な障害、偏執病(へんしゅうびょう)
*トラウマとは
肉体的、精神的に受けたダメージを、長い期間それにとらわれてしまう心的外傷
異変を感じたらやめることも大切
瞑想 (めいそう) は習慣化することで、いい影響を与えてくれることは確かだ。
ただ、マインドフルネス瞑想は『意識に意識を集中する』というトレーニングであり、静かな環境で目を閉じ、意識を呼吸や体の部位に必要以上に、フォーカスさせることでもあるため、幻覚、現実からの解離感、不安感などに陥りやすいことがあるのは、理解できる。瞑想を実践するなかで感情に距離をおいて、それをコントロールしていくことは常にできることでもない。
そういったネガティブな思考の時期は、瞑想をいったんやめてみるのも懸命だろう。瞑想中であればそれを中断し、時間をおくことも大切だ。最近では、気軽にアプリや動画など1人で行う瞑想が増えてきているが、そのような状況になったときに1人で解決することは不可能になる。
日本では、お寺の座禅体験やヨガ教室などで瞑想の指導を受け、体験できる場所もあるので、信頼できる場所・人を見つけ、ネガティブな現象が起きた場合は、相談してみることも大切なことかもしれない。