アメリカ・シカゴ出身のヒップホップアーティスト、チャンス・ザ・ラッパーは大手音楽レーベルと契約せずストリーミングを通して、2012年から3作品をリリースした。「10 Day」「Acid Rap」「Coloring Book」(チャンス・ザ・ラッパーが被っている「3」のロゴがついた帽子は3作品の3枚目という意味も込められているという)そして、それぞれの作品が評価され、大ブレイクを記録する。インディペンデントな活動とCDの販売もしていない状況で、ストリーミングのみでグラミー賞3部門を獲得した初めてのアーティストとなった。※現在(2021年)は、CDのアルバムも発表されている。
音楽の専門知識はもっていないので、詳しいことはわからないけれども、チャンス・ザ・ラッパーの詩と彼の独特な声にはポジティブさとユーモアを感じて、なにか高揚感というか、気分のあがる曲をたくさん聴ける。歌詞を見ていくと、彼の曲や参加曲には聖書(バイブル)からの影響があるように感じられる。
最近のアルバムに収録されている曲「All Day Long」。この曲のなかに「This is the day」というワードが出てくる。このアルバムは、チャンス・ザ・ラッパー本人が結婚したことや初めてのアルバムという意味もあるようだ。その言葉は聖書の詩篇にも出てくる。
wikisourceより抜粋 英・日
This is the day which the LORD hath made; we will rejoice and be glad in it.
-Psalm 118 : 24-
これは主が設けられた日であって、われらはこの日に喜び楽しむであろう。
–詩篇 118 : 24-
同じアメリカ・シカゴ出身のアーティスト、カニエ・ウェストのアルバムに収録されたチャンス・ザ・ラッパーの参加曲「Ultralight Beam」。曲のタイトルそのものにも、聖書の影響が感じとれる。聖書の一文と曲が重なりあって強烈な印象を与えてくれるすてきな曲だ。
wikisourceより抜粋 英・日
And as he journeyed, he came near Damascus: and suddenly there shined round about him a light from heaven
–acts 9 : 3-
ところが、道を急いでダマスコの近くにきたとき、突然、天から光がさして、彼をめぐり照した。
–使徒行伝 9 : 3–
ほかにも「Angels」、ジャスティン・ビーバーとの共作「Holy」、Donnie Trumpet&The Social Experimentでの「Sunday Candy」やChance The Rapper&Jeremih「One More Cry」など、聖書から影響を受けたのではないかと感じられる曲がある。もちろんどの曲もとてもいい。いま、世界を見渡すとアメリカでの人々の分断、世界中での感染症の流行など混沌とした世の中で未来に不安を感じている人も多いと思う。また、聖書的(聖書が残した預言)に世の中が向かっているという話も耳にする。
チャンス・ザ・ラッパーのように、インスピレーションの高い才能をもったアーティスト達は、世の中で起きていることや、未来に対して、敏感に反応し、それを表現としてリスナーに届けてくれているように思う。先にも書いたが、音楽を聞くことで気分をあげたり、気分転換したりすることは免疫力アップにつながり、元気でいられるひとつの方法だと思う。日本で生まれて特別に宗教を信仰してはいないけれども、晴れやかに、穏やかになれる音楽をこれからも楽しみたい。
チャンス・ザ・ラッパー公式HP・・・www.chanceraps.com